認定NPO法人キーパーソン21

活動ダイアリー わくわくエンジン®ブログ

江津市の教育が先んじているわけ Part1 私たちがめざすこと

2021.01.16

江津市

江津市の教育が先んじているわけ
 
私たちキーパーソン21は、一人ひとりの中にあるわくわくして動き出さずにいられない原動力のようなもの「わくわくエンジン」を大切にしています。
この対談シリーズでは、社会の課題に気づいてしまって、一歩踏み出して解決に向けて日々動いている、全国各地でイノベーションを起こしている皆様にお会いして、人づくりまちづくりについての考えをお伺いしていきます。

対談シリーズ

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ノーマルなんてない
だからニューノーマルもない
時代は変化する
枠にはまらず自分らしい未来をつくっていく
踏み出す一歩から生まれる未来
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対談シリーズ#03 まちづくり島根県江津市編では
【Part1】私たちが目指すまちづくりってどういうことなの?
【Part2】島根県江津市のリアルな取り組みの軌跡
【Part3】江津市ではなぜ教育を軸にしたまちづくりがなぜ進んでいるのか?
について、あったかい行政マン河野裕光さん、江津市のイノベーター江上尚さんと共に、振り返ったり、トークセッションで盛り上がりました。
 
この記事ではキーパーソン21は最近何やっているの?と気になっていた方へ
【Part1】私たちが目指すまちづくりってどういうことなの?についてお届けします。

 

 

スピーカーの紹介

 
河野裕光

河野 裕光
Hiromitsu Kono
江津市出身。江津市教育委員会 社会教育課長
小さい頃からスポーツが得意で、島根国体で江津市開催種目であった水球とハンドボールをやり始める。中学校、高校、大学と競技を継続し、愛知県の大学を卒業後、ハンドボールを続けるために実業団に所属(入社)、所属中は全日本メンバーに選出されるなど順調な選手生活であったが、怪我のため、3年間で選手生活を断念し、出身地のために働きたいという思いで、地元の江津市職員採用試験を受験し、合格、用地交渉や国民年金、商工観光などの部署を経験して、現職に、市職員として、念願であった「まちづくり」に携われることを喜びとして、日々の生活を送っている。

 
江上尚

江上 尚
Takashi Egami
愛知県名古屋市出身。グロービス経営大学院卒(MBA)。2016年に17年間のサラリーマン生活に終止符を打ち、東京から島根県江津市にIターン移住。現在、コンサルティング会社をはじめ、3社を起業、2社に事業投資。「島根県西部の石見(いわみ)地方のエコシステムをアップデートする」をライフテーマに活動。「若者の才能と情熱を解き放つこと」が最新のわくわくエンジン®︎。2018年度から「江津市の公教育にわくわくエンジン®︎をインストールする」ために活動を開始。ゴウツわくわく研究所を主宰。

朝山あつこ  藤谷仁美


 

朝山

河野さん江上さん今日はありがとうございます。大変お世話になっておりまして、昨日一日置いて一昨日とその前の日2日間も江津の皆さんと一緒にわくわくナビゲーターっていうわくわくエンジンを引き出しちゃう人を養成するっていうことを遠隔で、わくわく研究所と一緒にやらせて頂いてたんです。すごい感動の時間をいただきまして、本当に毎年毎年ありがとうございます。

 

江津市  江津市
これですね、島根県江津市。アサリハウスにいつも泊まらせていただいて。いつも美味しいお魚やらお肉やら美味しいデザートやら、もう本当に美味しいものがたくさん江津にはあるので、海もあるし山もあるし。緑もあるし。もう本当江津の大ファンになってます。

 

江上&河野

ありがとうございます。
 
 

朝山

今日は、わくわくから始まるまちづくりっていうテーマで、全国の中でもとっても先んじていらっしゃる江津市のお二人とわいわいとお話しできればなと思っています!
 
まずは朝山がキーパーソン21が目指すことと江津市の取り組みを「わくわくする自分から始まる未来 主役は子ども きっかけは大人」というテーマでお話しさせていただきたいと思います。

 

私たちが目指す社会

 

朝山

私達キーパーソン21はわくわくエンジン(わくわくして動き出さずにいられない原動力のようなもの)を一人一人から丁寧に発見をしていっちゃおうっていうことをやってるNPOなんですね。なぜこのわくわくっていうのを大事にしているかっていうと、わくわくすると人は能動的になるんですよ。なのでわくわくを大事にしています。
 
私たちが目指している社会は、子どもを中心においてですね。家庭、学校、大学、地域の企業、行政、うちみたいなNPO団体、キーパーソン21も入ってきて、みんなで一緒にあらゆる立場の人達がもうごちゃまぜになって本気で、オールジャパンで育てようよと。オール江津で子どもたちを育てようっていう考え方なんです。
目指す社会

すべての人が自分を活かしてイキイキと仕事をして生きる。
これが私たちの描く理想の社会です。
 

大切な2つの力

 

朝山

これからどんな未来が来るか、分からないと思いますが、今から育てる大切な力というのが2つあるという風に思っています。
 
まず自分ですね。自分が何者であるかを語る力。
 
お隣さんといっしょとか、もうなんか全員40人クラス、十把一絡げで全員お隣もみんな一緒っていうんじゃなくてみんな一人一人違うよねって。自分はこういうふうに思うとか、自分はこういう風に考えるとか、こんな風にしたいと思っている、のような自分自身を語ることができる力。これがすごく必要になってくると思っています。
 
さらには、人はひとりでは生きていくことができませんから、協働のコミュニケーション。社会とつながる力ですね。

NPOと行政とか、地域と企業とか、学校と地域とか、なんかもうみんながごちゃまぜになって繋がり合う協働のコミュニケーションをとるということがすごく大事だ、というふうに思っているんです。
 

ごちゃまぜになって繋がり合うプログラム

 

朝山

そのためにはプログラムが必要だという風に思いまして20年前から開発をいたしまして、「夢!自分!発見プログラム」というのを作ってきました。これまで5万人以上の子どもたちに提供してきておりまして、学校の授業や、学習支援の現場、地域の児童養護施設、そういうところと連携しながらやり続けてきております。
 
2016年には『経済産業省キャリア教育アワード2016』で、経済産業大臣賞最優秀賞というのを頂戴いたしまして、国も太鼓判を押してくれています。
 
プログラムの中では何を目指しているかということなんですけど、

まず方針としては『ゲーム形式』
もう「楽しい」ということが絶対!一番大事なんです。やっぱり未来のことを考えるのは楽しいと思ってもらいたいからなんです。
 
それから『大人が関わる』
これすごい大変な事なんですよね。未来のこと考えるんだったら、じゃあ冊子配って、みんな自分で考えて書き込んでごらんってやれば、簡単な気がするんですけれども。
この大人が関わるということに「非日常性」があり、大事なことだという風に思って取り組んできております。ここが非常に大変で、一番肝になる部分なんです。
 
そして『グループ形式』
チームワークで色々物事、お仕事でも進めていくことになりますので、グループ形式でやるということも大切にしています。
 
その時につけたい力が“自分で考えて選択して行動する力”
これを育みたいと思っています。
 
この時、私たち大人側の力はどんなものが必要なんでしょうか?
 
例えば学校だったら先生は「教える力」が必要ですよね?でも、このキャリア教育に関しては教える力は必要なくて、子どもの中にあるダイヤモンドの原石のようなもの(わくわくエンジン)を「引き出す力」「認める力」そしてそれを「伴走する力」この3つが必要だというふうに考えてプログラムを構成しております。
 

わくわくエンジンって何?

 

朝山

ここでもう一度、わくわくエンジンについて説明しますね。
 
これは実際にあったお話です。A君B君C君ていう子どもがいました。中学生、野球部です。野球一生懸命やってる。プログラムの中で「A君B君C君何にわくわくする?」って言ったら「もちろん野球」って言ったんですよね。野球にわくわくする。そうすると、大人はすぐに「野球上手だしみんなじゃあ野球選手に将来なれば?」とかって勝手なことを言うわけですよ。そうするとA君B君C君は「野球選手めっちゃいい」と思ってわくわくするわけですよね。
 
その時に野球を一生懸命やっている自分と社会で将来野球選手として活躍している自分というのがポーンと繋がって嬉しいわけですよ。もうわくわくしちゃう。すごい良いわけなんですけど、どっかで「あれ俺、野球選手になれるかな?」って。中学か高校か大学かどこでか分かりませんけれども、どっかで気づいちゃうわけですよね。そうするとこの野球を一生懸命やっている尊い自分と、社会で野球選手として活躍している自分のたった一本の糸でつながっているこの糸がプチンと切れてしまうわけです。そうすると「どうせ俺なんて」とか「やる気ねぇし」とか「別に」とか、「将来希望もねぇし」みたいな話になって投げやりな感じになっていく。こういうことが日本の中で蔓延しているというふうに思うんです。

私たちはどういう風にやっているかと言うと、「Aくん、野球の何にわくわくするの?」って聞くんです。もうこれ鉄板の質問です。そうするとA君は「作戦や戦略立てるのめっちゃ面白いんだよ」って言ってくれるわけです。「おお、そうかいいね!」
 
B君は「どう?って何にわくわくするの?」って言ったら、もう自分がチームで何かを達成するために役に立っていることがもう嬉しくてしょうがない。「いいじゃないか」と。
 
C君は素振りとか筋トレとか自分の日々の小さな成長を感じとるっていうことがもう楽しくてしょうがない。「そういうことなのね」と。
 
私たちはこの子たち野球をやっているということは表面的にすぐ分かりますが、どんな思いでどんな気持ちでやっているのかは聞かない限り分からないわけなんですよね。そこでA君のわくわくエンジン「作戦や戦略を立てること」が分かると、学校の中で、家庭で、地域で活かすことができるわけなんです。
 
例えば
今度の運動会「騎馬戦で隣のクラスに勝ちたいから、作戦戦略立ててくんないかな」って伝えると張り切って考えるかもしれない。
また、「地域のお祭りに人が集まらなくなっちゃって、どうやったら人がたくさん集まってくれるか、作戦や戦略を一緒に考えてくれないかな」と伝えたら、A君張り切るかもしれないわけなんですよ。
 
そうやってまちづくりにも活かすことができる。私たちはそれぞれの子どもたちの思いを対話から引き出していくいうことをキャリア教育としてやっているということなんです。
 

わくわくの3つの観点

 

朝山

この時にとっても大事なことがありまして、わくわくの3つの観点というのがあります。

『名詞的わくわく』
1つ目は「うちの子絵が好きなんです」「私星が好きなんです」
「僕はサッカーに夢中なんです」っていうように何かに一生懸命になってる姿。これは名詞的わくわくと言ってまして興味関心の対象なんです。だから表面的にすごく分かりやすい。
 
『動詞的わくわく』
わくわくエンジンというのは動詞的なんです。例えば「開発すること」「冒険すること」「知らないことを知ること」「伝えること」とか、「何か調べること」「分析する事」
この行動やアクションになること、これをわくわくエンジンと呼んでいます。
 
『形容詞的副詞的わくわく』
もう一つの観点がありまして、これが形容詞的副詞的わくわくと名づけておりまして。例えばみんなとワイワイやるのが好きな子もいれば一人で静かにじっくりやりたい子もいる。正しくやりたい子もいれば、アクティブにやりたい子もいる。美しくスマートにやりたい子もいれば、ゆったりやりたい子もいる。これは状態を表すわくわく。
 
この3つの観点で私たちは子どもを見ることができたらいいんじゃないか、というふうに考えてやっております。
 

滋賀県草津市のまこちゃんの話

 

朝山

ここで一つの事例をご紹介します。
小学校4年生のまこちゃん、可愛いですよね。この子は本が好き。「名詞的わくわく」ですね。本が好きだと良いですよね。親は「うちの子賢くなるわ」って言って、いろいろ本を買い与えたりとか、図書館に連れてったりとかすると思うんですけれども。

まこちゃんの凄いところは、『読んだ本の面白さや素晴らしさをみんなに伝えること』
ここに自分のわくわくがある
って気付いたことなんです。プログラムの中でわくわくエンジンを発見しました。
 
ここでさらにすごいのがまこちゃんのお母さん!
「そうか!まこは伝えること本の面白さや素晴らしさを伝えることが面白いのかそこにわくわくするのか、よし、町の図書館で開催されてるビブリオバトルに連れて行こう」と。
(ビブリオバトル:本の面白さを伝えあってどの本が一番読みたいか競い合うゲームのようなもの)
 
この図書館、いつもはガラーンとしていて館長さんが寂しくビブリオバトルやってたという状況だったんですけど、このまこちゃんが来るようになってから、図書館が賑わい始めたんです。わくわくしている子ども、まこちゃんに大人がどんどん引き寄せられてきたんです。「何やってんだ?なんだなんだなんだ」って。
 
続いてなんとすごいことが起きました!この町、全国ビブリオバトル大賞を受賞!
「まちづくり」ってこういうことなんじゃないんですか?
一人のわくわくが皆に影響してまちが元気になっていく。
 
一人ひとりのわくわくエンジンから始まるまちづくりってこういうことですよね?
そしてそんなまちづくりが島根県江津市でも始まっています。わくわくエンジンがわかると周りの大人たち、親も先生も地域の大人たちも企業も行政の人たちも子どもの何を応援すればいいのかが分かるってこういうことなんです。
 

わくわくから始まる人づくり、幸せな社会づくり

 

朝山

キャリア教育を考えた時に、自立する、自律的に生きるとかっていうところを目指しているのは同じだと思うんですね。
 
その時に必要なのが「自分を知る」っていうこと。ここから始まることが大事だと思っておりまして、それはつまりわくわくエンジンの発見なんですけど。わくわくエンジンを発見するとわくわくして動き出したくなる。これが私たちがやっている根管のところなんです。

プログラムの中でいろんな大人たちと関わり、わくわくエンジンを発見すると動き出したくなる。そうすると、家庭やクラス、学校、職場、地域社会に目を向けるようになります。それが主体的な行動になり、地域とつながってくる。
 
主体的になれる一人ひとりを応援してチャンスをつくるということを、周りの大人たちができたら子どもたちは自分のわくわくエンジンを活かすことができるわけです。やらされ感でやるんじゃなくて、自分から活かす。それを大人がちょっとサポートするだけでものすごい成果を持つようになってくる、ということだと思うんです。
 
その経験を踏まえて成功体験とかも、もちろん失敗体験も含めてした経験がですね、まちの人に応援されていろんなことをやってみたっていう経験から自分の進路や将来の仕事や生き方とか考えられるようになる。
 
 『自分で考えて選択する力ができていくということを地域で育てましょう、それこそがまちを活性することになり経済も活性することになりみんなの幸せにつながる』っていうのが私たちのロジックなんです。

 
もう少し詳しくご説明します。

このわくわくする思いを持った主体的な人を育てるということが日本全国の苦労されてるところだと思うんですね。全世界的にも日本の子どもたちが意欲がない、というデータが出てしまっている。わくわくする思いを持った主体的な人を私たちは育てます。そしてそれはわくわくエンジンが分かった子です。それが分かってくると動き出したくなる。そうすると地域に目が向いて一歩踏み出したくなる。一歩を踏み出すと気づくことがある、出会うことがある、出会うものがある、解決したい課題に出会うことになる、ということになる。
 
自分と地域というのが繋がるんですよね。やっと。
この子どもがわくわくして動き出したくなる気持ちを地域で応援をするということがすごく必要で、サポートして応援してくれる人やコミュニティがあるということが、すごく大事なポイントになってきます。
 
どんどん行動したくなってまちの課題が解決に向かって元気になっていく。これがつまりわくわくから始まる人づくり、幸せな社会づくりというふうに考えている、ということなんです。

 

教育を軸にしたまちづくり5つのステップ

 

朝山

私たちは5つのステップというのを大事にしています。

第1ステップ「概念を理解する考え方がわかる」ことがすごく大事。わくわくエンジンって何?なぜわくわくエンジンがまちの活性に繋がるの?これまでお伝えしたようなことですね。
 
その次に第2ステップ「プログラムのサポーターになる」プログラムをまちの子どもたち、大人たちに届ける人、わくわくナビゲーターのこと。つまりわくナビって言うんですけどね。江津市でも育っています。
 
そして第3ステップ「わくわくエンジンを引き出す」その人たちが「まちの人たちのわくわくエンジンを引き出すことができるようになる、理解することができるようになる、対話することができるようになる」わけです。
 
第4ステップ「子どものやりたいを応援する」その次に大人たちがやるのが「たくさんそこから生まれてきた、子どもたちのやりたいという気持ちを応援する」です。
 
最後に第5ステップ「発表するシェアする」
そういう対話型教育循環システムの構築というのをこの5つのステップでやろうとしております。
 
でですね、この取り組みをアメリカアトランタにあるコカ・コーラ財団が、キーパーソン21さんの考えてること面白いねと興味を持ってくれて。日本は人口減少していて、地方も衰退しているという風に言われている。けれどもその考え方非常に面白くていろんな政策があるけれども、「いいね」と注目して下さったんです。そしてこの度、資金支援をいただきまして日本全国10地域を候補に地域活性モデルを展開しているということなんです。
 
それを江津と一緒に取り組ませていただいているという事になんです。
日本北海道から沖縄まで全国たくさんの仲間がいますのでもういろんな行政やら起業やら大学やらいろんなNPOやらと連携しながら進んでおりますので日本中で助け合う体制というのもできつつあります。
 
教育を軸にした街づくりということで、江津市やっぱり先んじておりまして。
江津でどういう取り組みがあるのかっていうのを・・・(Part2に続く)
 
今回の対談シリーズ#03はYouTubeでもご覧いただけます。
 

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