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江津市の教育が先んじているわけ Part3 トークセッション

2021.01.16

オンラインコンテンツ全国各地の活動江津市

江津市の軌跡

対談シリーズ#03 まちづくり島根県江津市編では
【Part1】私たちが目指すまちづくりってどういうことなの?
【Part2】島根県江津市のリアルな取り組みの軌跡
【Part3】江津市ではなぜ教育を軸にしたまちづくりがなぜ進んでいるのか?
について、あったかい行政マン河野裕光さん、江津市のイノベーター江上尚さんと共に、振り返ったり、トークセッションで盛り上がりました。
 
この記事では江津市の取り組みを推し進めている3人のトークセッション
【Part3】江津市ではなぜ教育を軸にしたまちづくりがなぜ進んでいるのか?をお届けします。

 

 

江津市の教育が先んじているわけ

 

朝山

江津市の軌跡(2018〜)をご覧になってどう思われました?
 
 

河野

本当に最初に江上さんからお話しいただいた時に、この町の教育のOSにしましょうっていうことで、このわくわくエンジンを始めさせていただいたんですけれども、まさかここまで進んでるのかっていう風なのがもう正直驚きのところで、あとはこれをね今ちょっと小さいところでしかやれてないっていうところがあるので江津市全体に広げていくのは私の役目かなxという風には思っていますので頑張りたいと思います。
 

朝山

やったぁ!ありがとうございます。子どもたちの想いを聞いたらやっぱり聞こえてくるのでそれを自然体で応援するだけなんですよね。よかったです。江上さんなんか思われました?
 

江上

そうですね、この3年間の取り組みを改めてこうしてまとめてくださってですね。
私自身もこんなこともやったな、あんなこともやったなと、あの時結構大変だったな、つらかったなあと思いながらも、河野さんから頂いた言葉が私にはとても嬉しくてですね。
 
一番最初に江津市の教育のOSにしましょうっていう言葉自体はとっても抽象度が高いし、ほんと漠然とした言葉なんですよね。だからそれを理解するっていうこと自体とても難しいことだと思うんですよ。だってどうなるのみたいな。具体的にどんなことをやるの?いつまでに?何人で?みたいな。そんな話になりがちじゃないですか。
 
だけどそれを、具体的な事を特にこう尋ねられることもなく、ある意味私の言うことを信頼していただいてですね、任せていただいた言うことが実はすごく大事だし、それがあったからこそ、ここまで出来たのかなと思っています。これは、私自身、前職でですね企業のイノベーションっていう領域ですね。そこをいろいろ携わっていたこともあってですね。

大企業でのイノベーションがなぜ起きないのかいうことと、
実はまちの取り組みとしてイノベーションがなぜ起きないのかっていうことは結構似てる
と思ってるんですよ。
 
良いことをやろうとしているんだけど、総論では賛成だけど各論で反対みたいなことが大企業ではよくあるんですよ。それは行政でもあるし、まちでもあると思うんですよ。うまくいっているところ、イノベーションが起きてる会社とか組織っていうのは、社長だったりとか上の人たちが、社員にちょっとまあとりあえずやってみろと何も言わんから、予算はこれぐらい渡すからやってみろということでやらせるというケースだと結構うまくいくんですよ。
 
結構それに近い形が実現できていたんじゃないかなと思います。私も細かいことをいちいち報告するタイプでもないので、河野さんの立場からすると多分議会からいろんな質問があったら、なんて答えようみたいなことを毎回に冷や冷やされてたんじゃないかなと思います。でも何とかこうやってある程度形になってきたので、先ほど河野さんおっしゃっていただいたとおりこれをどうやって爆発的に広げていくかっていうことは、ちょっと次のステージに来たのかなっていう気はしています。

 

朝山

そうか河野さん見守っていればいいのかなって思ってくださったのは良かったってことですね。KPIどうすんの?とか一体何人達成できたの?とかどうなったの?成果は?とかそんなことを言わずもっと大きな視野と視点と視座で見守っていらっしゃったっていうか、直感的にわかってらっしゃったのかな?
 

河野

ん?どうなんだろう、
 
 

朝山


 
 

河野

基本的には私ってこういうタイプなので。
 
 

朝山

こういうタイプ?どういうタイプ?
 
 

河野

あまり多くは語らずに、先ほど江上さん言われたようにちょっとやってみてよっていう感じで。あの私は上から、上の方からはかなり責められてましたけどね。
 

朝山

あ、そうなんですか?
 
 

河野

どうすんの?これこんなにお金突っ込んでどうすんの?みたいな話はちょいちょいあります。けどまぁまぁもうちょっともうちょっと、みたいな感じでずっと受け流してましたけど。
 

朝山

ですよね。だから議会とかってね、さっき江上さんもおっしゃってたけど、議会でこれどうなってんの?って議員から突っ込まれると苦しいわけですよね、そこねまぁまぁもうちょっとって言える度量がある行政マンがここにいるって事ですね!すごい。
 

河野

ありがとうございます。お褒めいただいて。
 
 

朝山

いや、ほんとそう。そういうことですよね。
 
 

河野

まぁ、ただね、やっぱりこう江上さんのやりたいことに対して私の力っていうのはちょっと力及ばずでまぁ江上さんが10やりたいところ、1か2ぐらいにしかやれてないのかなっていうのは申し訳なく思ってるんですけど。
 

朝山

でも、これだけね子どもたちが証明してくれてますからね。
大人たちも証明してくれてますよ。これ本当にやりたいって言ってくださる大人たちがいっぱいいるわけですよ。
 

河野

今日先ほど江上さんも言われてましたけど、うまくこれまでのところまとめていただいて、これをもとにね、市内小学校中学校全部回って爆発的に広げられていけたらいいなって思ってます、本当に。  
 

朝山

他の所から見たら羨ましいと思いますよ。これを知ってしまったら親御さんたちも、あれ?どうしてうちの子どもの学校でやってくれないのっていう話に多分なると思います。
 
 

なぜ江津市の公教育にわくわくエンジンをインストール?

 

朝山

何で江津市の公教育にわくわくエンジンをインストールしようって思われたんでしょうか?
 

イノベーションの本質

 

江上

最初にお話ししておくべきことは、先ほどそのイノベーションについて色々な勉強をしていたりとか、仕事として携わっていたって話をしました。イノベーションの本質って何か?っていうのを表す時に分かりやすい言葉があります。
 
それは、人類最大の天才と言われるアインシュタインという人物がかつて言ったと、言われている言葉です。それは何かと言うと『insanity』って言葉です。『insanity』を訳すと「狂気」です。「狂った気」狂気のことをinsanityと言います。
 
アルバートアインシュタインは狂気の定義をこのように言っているんですね。
同じことを繰り返しながら違う結果を望むことそれを狂気という。狂気っていう言葉がちょっととてもきつい言葉なので、ちょっと構えちゃうんですけど。
 
つまり、昨日と同じ事をやっているのに、今日は何か違うことが起きるかもしれないとか、明日は違う未来がある、訪れるかもしれない、みたいな風に思うこと自体がちょっとおかしいと。同じことを繰り返したら同じ結果しか見れないんです。だけど昨日とちょっとだけ違うことをやると違う結果になるってことですね、それはまぁ科学実験とかでもそうだと思うんですよ。
 
違うことを何かやってみる。何か一歩踏み出してみる、頭の中で考えててもダメで、やってみるっていう事でしか違う結果は出ませんよっていうことが根本にありますと。
 
もう一つ私は社会心理学者のアルバートバンデューラっていう人が提唱している『自己効力感』っていう言葉がものすごい大好きで。
『自己効力感』とは自分だったら何かできるかもしれない、自分でも何か出来るかもしれないっていうことですね。
 
自己肯定感っていう言葉は、皆さん多分何度も聞いているし、いろんなところで教育の中に組み込まれてると思うんですよ。自己肯定感を高めましょうみたいな。これはもう一言で言えば過去の自分に対する自信のことですね。
 
自己肯定感は過去の自分に対する自信、自己効力感は自分の未来に対する自信です。
 
将来これができるかもしれないあれもできるかもしれない、自分の未来に対する自信ですよね。この過去と未来っていうのを行ったり来たりするっていうことが大事で、かつ昨日と何か一歩違うことをやってみるっていう事が凄い大事なんですね。
 

シティスローガン・江津市の公教育・ふるさとキャリア教育をどう結びつけるか

 

江上

本当に一番最初の最初、その河野さんからふるさとキャリア教育をどうにかしたいんだよね。っていうご相談を頂いて。その時にたまたまその江津市のシティスローガンですね、「GO▶︎GOTSU!山陰の創造力特区へ」って言うシティスローガンが2015年に決められて、その言葉とそれから、先ほど登場したバカボンさんですね。この三つが私の頭の中でなんかもやもやと浮かんできたんですね。
江津市
 

江上

シティスローガンに出てきている中の「創造力特区へ」っていう言葉があるんですね。こういうシティスローガンがかなりおしゃれというか、攻めてるシティスローガンなんですけど。おそらくこんなシティスローガンは全国でも江津市ぐらいしかなくてですね。このシティスローガン自体は博報堂さんに色々サポートしてもらって作ってもらったってことなんですけど。私このシティスローガンが本当に大好きなんですよ。
 
じゃあこのシティスローガンをその江津市の公教育という文脈の中でどう位置づけるか、それからどう理解するか、それからふるさとキャリア教育とどう結びつけるか、っていった時に私の理解では10年後もしくは15年後ですね、未来の江津を担う創造力豊かな人材を育てるっていう事が江津市の公教育の在り方なんじゃないかなっていうふうには理解してるわけなんですよ。
 
じゃあ、今までのそのふるさとキャリア教育っていうのを振り返った時に何をしていたかっていうと先ほど河野さんから説明があった通り、田植囃子だったりとか石州瓦の工場見学だったりとか。色々ラインナップはほんと豊富にありましてですね。
 
全部Howなんですよね。ふるさとキャリア教育をこんなプログラムできましたっていうHowのところばっかりだったんですよ。だけど一番考えなきゃいけないのはWhyなんですよね。なぜそれをやるんですかっていうことと、何をするんですかっていうことと、それをどうやってやるんですかっていうことこのwhyとwhatとhowっていう3つをちゃんと考えましょうっていう作業が実はすごく必要なんです。
チャート図
 

江上

私の中でこの将来の江津を担う創造力豊かな人材を育てるためにっていった時にそもそも創造力っていうのは何なんだっけというの考えていくと、先ほどお話しした自己肯定感と自己効力感と機会提供っていうのが必要だよねと。じゃあ自己肯定感ては何なのっていうとあなたが好きなもの、好きなことを言語化しようっていうことだし、自己効力感とは自分にもきっとできるはずと信じてみることだし、機会提供っていうのは何かって言うとやってみようと背中を押す。そういった地域の大人がいたらいいよねっていうことになるんですよね。
 
この3つをどうやって実現するかっていった時に、なんとこのわくわくエンジン発見プログラムっていうのがドンピシャだなという風に頭の中では設計図ができたわけですね。

 

朝山

そんなことを考えてくださってたんですね。これすごい説得力ありますね。
 
 

河野

教育委員会の方でも、基本的にはふるさとキャリア教育って上に書いてあるんですけど10年後の江津を担う、豊かな人材を育てるためにっていうことで始めてますので、ここまですごい説得力のあるようにまとめて頂いてるとは思っていませんでした。初めて見させてもらったような気がするんですけど、ありがとうございます。

 

朝山

私も初めて見ましたすごい綺麗ですよね。この創造力を地域全体で育むことができたら怖いもんないですよね。
 

河野

そうですよね。
 
 

江上

それで朝山さんの本を読みつつ朝山さんに会いに行ったと。秋に江津で講演会をやってくださいと、いきなり会ったのにかなり厚かましいお願いをしに行った、というのが2018年の春ですね。江津市

 

朝山

そう、この本ですよね。この本に付箋を山盛り付けてくれてね、ここに。読み込んでくれてるって言うのが分かる感じでしたよ、嬉しかったです。

 

河野

江津市として人を呼び込むことや、このまま江津に住み続けてもらったりっていうところで、人口減少の対策っていうのはしっかりやっていかないといけないっていうのが大きな目標ではあるんですけど、この江上さんがおっしゃるようなことを実践できていれば自然に人が集まってくるだろうし。逆に言うとそんなに人はいなくても、すごいまちになるのかなーってわくわくしちゃいますよね。

 

朝山

あー!いいですね!わくわくすることが重要だと思うので人口減少を恐れて囲い込むとかね、なんかこんないいことあるからおいでよって言うんじゃなくて、みんなまちの人たちが楽しそうにわくわくしてたら絶対寄ってきますよね。わくわくしている人のそばに人は集まってくるんですよ。あのさっきのまこちゃんの例じゃないですけど、子ども、大人でもわくわくしている人のそばにいると楽しいじゃないですか。だから人は絶対集まってきますよ。
 
ふるさとキャリア教育というのをある意味こういうことを何ていうか、もわっとはイメージされてたようなところがあるんですかね?もともと、ここまでいってなかった?

 

河野

そうですね、ここまでは思ってはなかったですね。とにかくふるさとをまずは知ってもらいたいっていうことと、今学んでることを将来にどう活かすのかっていうのを考えてもらいたいなっていうことでずっとやってたんですけど。やっぱりねさっき言われたようにあれもできるこれもできるで終わっていたんですよね。

 

どういうまちづくりをイメージ?

 

朝山

自己紹介のところで念願のまちづくりって仰っていましたね、もともと河野さんはハンドボールの選手でいらっしゃったんですか?
 

河野

はいはい、
 
 

朝山

愛知県の大学にいらっしゃって選手としてやっていたけれども戻って来られて、職員採用試験に受かって、念願のまちづくりに携われることを喜びとして日々生活を送っているって書かれてあるのを拝見しました。

 

河野

私はハンドボールを小さい頃からずっと続けていて、いろんな大人の方に世話になりながら本当にいろんな人と関係を持ちながらずっと育ててもらったと思ってて。江津っていうまちに。選手としてはトントン拍子にうまくいっていて、日の丸を背負えるところまでいきかけて、実際何試合か日の丸背負って出させてもらった試合もあるんですけど、それいつか恩返ししたいなってずっと思ってて。
 
怪我をしてしまって選手を諦めた時に、じゃあ自分をここまでしてくれた江津に帰って恩返ししたいなって思ってたんですよ。市の職員採用試験受けたら受かって、単純に市役所っていうところはまちづくりができるところだと思ってたので、そこで仕事を一生懸命することがまちづくりに携われることだっていう風に思ってて。

 

朝山

ということは子ども時代に江津のまちの人たちに、大切にされた思いがあるとか、応援してもらえた思いがあるとか、そういう子ども時代を経験しているからこそ、恩返ししたいと思われたってことですよね?その循環をしたいなと思われた感じですか?
 

河野

そうですね、とにかく私自身が大人になって、この事を子どもたちに伝えていきたいなっていう風には思ってました。
 

朝山

それが、ふるさとキャリア教育でもあったってことなんですね?
 
 

河野

そうですね。はい。
 
 

朝山

ハッピーになりたいイメージも少しずつ伝わってきました!江上さんは江津のまちでこれをインストールすることによってどうなったらハッピーって考えていましたか?さきほどの図でも説明していただきましたが、そもそもどんなまちを?
 

江上

このわくわくエンジン発見プログラムの取り組みは、子ども自身の自己肯定感とか自己効力感を高めるっていうこともあるんですけど、実はもう片っぽの、まぁ対話なのでその子どもと大人っていう分け方をした時には大人の方も実はものすごい良い影響があるわけですよね、それが魅力だと思うんですよ。
 

朝山

そうですよね。子どもだけ元気になれって言ったってね。
 
 

江上

そうそう。これもさっきの企業におけるイノベーションの話になっちゃうんですけど,
例としてですね。やっぱり他人任せにしないっていうことが実はものすごく大事ですね。会社で言えば、社長もしくは経営陣が売上を2倍にしますとか、利益を2倍にしますとか、経費を削減します、今度はアメリカに進出します、みたいなことを方針として出すじゃないですか?
 
そうすると下の方の人たちっていうのは上が言ったことであればそれに従うみたいな思考停止になってしまったりとか。もしくは組織が大きくなればなるほど、それはあっちの部署が担当だから、自分は知らねーみたいなことになりがちなんですよね。
 
だんだんだんだんその自分ごとではなくなるというか、社員一人一人の働きというか何を考えどう行動したのかの集積がやっぱりその会社の業績につながると思うんですよ。これをまちづくりにも当てはめた時に税金払ってるんだから市役所の人がやればいいじゃない、とか市長が方針決めればいいじゃないとか、子どもの教育は学校に任せればいいじゃないみたいな、人任せになってしまうと良くないですよね。
 
目指すべき方向性は、住民一人一人、それは子どもも大人も含めても行政も含めて、一人一人がこういうまちにしたいなとか、自分はこんなことを実現したいなっていうこと、自分の考えを言うってことですよね。郷田小学校の6年生の女の子が自分の考えを言えた、とか何か聞いて欲しい、とか話をしたい、と言っていたり、先日の江津高校の1年生が自分の考えを自分の言葉で伝えたいとか、それがわくわくエンジンだみたいな事も言ってますよね。
 
つまり自分の考えとか自分の感じたことを誰かに言う、言語化するっていうことがものすごい大事で。ここからしかその創造性とかクリエイティビティとか新しいことは生まれないんですよね。それが子どもとの取り組みを通じて大人たちも気づいて欲しいんですよ。

 

朝山

ほんとですよね。
 
 

江上

大人たちも、それこそ40・50・60・70歳になっても実は自分こんなこと考えてたんだよねとか、そんなことやりたいんだよねっていうことに気づいて、それを誰かに話すと話した相手がちゃんと受け止めて認めて、“あ、それいいね、よかったら一緒にやりませんか”みたいなこと言ったりとかですね。こういうその細かな小さな小さな積み重ねが創造力特区を形づくっていくんじゃないかなと私は思うんですよ。

 

朝山

おしゃる通りですよね、やっぱり一人ひとりが主体的になる。人任せにしない。自分事として考える。自分事として動く。っていうのが本当大事ですよね。社長がやればいいとか、市長がとか、税金払ってんだからこういう権利があるでしょうとかね、そんなことばっかり言ってる人って楽しくなさそうで。
 
もっと自分でわくわくしながら自分ごととして、人の事も話も聞きながら“あ、それいいじゃない”って言い合いながら何かが生まれていくような、そんな気運が高まるような企業組織体であったり、NPOだったり地域だったり行政だったり、江津市全体のまちだったり、日本中がそうなるとみんながハッピーになりますよね。
 

河野

そうですよね。そう思います。
 
 

藤谷

よく行政の方から全国からですね、お問い合わせがあって。今まちづくりを真剣に考えてくださる行政の方はたくさん出てきたと言うか、たくさんあるなーっていうふうに私も実感で思ってるんですけど。皆さんご相談の最初の一言がこのままでいいわけではないと思ってます。でも何かが足りないんです何かを始めないといけないと思います、っていう話をしてくださるんですよね。
だけど江上さんのおっしゃったようにちょっとでもいいから違う一歩踏み出すのかってとっても大きいなって思います。

 

どうして一歩踏み出せたの?

 

朝山

さっきの江上さんの名文句ですよね。昨日と違うことを今日する。明日、今日と違うことをする。そしてそこに何か違いが生まれてきて開けていくっていう、なんかそこを本当にすごい大事なポイントですよね。昨日と同じでは何も変わらないって事って言う示唆ですね。
 
そんな中でね、みんなそういうふうに課題は思い浮かぶじゃないですか。
だけどそうは分かってるけど、一歩踏み出せないっていう人ってすごい多いと思うんですよ。怖いとか批判されるんじゃないかとか、こう「そらみたことか」って言われるんじゃないかとか、理詰で来られるともうやる気なくすとか、いろんな理由があって一歩踏み出す事への恐怖と言うか、そういう人たちって日本中あふれていると思うんですね。
 
でも河野さんと江上さんは一歩踏み出しちゃったじゃないですか、どうして踏み出せたの?そこ聞きたい。

 

江上

私は一歩踏み出すという意味でいうとその自己効力感なんですね。自己効力感がそのいろんな性格診断的なツールがたくさんあるんですけど、診断を受けるとですね、私自己効力感が振り切れてるんですよ(笑)なんでもできると思っているんですよ。空も飛べるはずみたいな(笑)タイプなんです。
 
それは私の子ども時代を振り返ると両親とか周りの大人とか学校の先生がやってみたらとかや、君ならきっとできるよっていうことを常日頃から声かけをしてもらってたなっていうことはすごい感じます。

 

朝山

めっちゃいい環境じゃないですか!
 
 

江上

そう。ものすごいいい環境だったんですよ。それは社会人になってからも自分の先輩とか上司が比較的やってみたらって言って任せてくれたっていう経験が結構あってですね。すごい恵まれていて自己効力感が向上したっていうのはあります。
 

朝山

そっか、じゃあ私たちも、子どもたちに「それいいじゃん」って応援してあげ続ければ子どもたちもそういう風に一歩踏み出す力が出来るって事ですかね?
 

江上

と思います。ただ人間はそもそも変化を嫌う動物なので昨日と同じことを繰り返すっていうのは普通なんですよね。自然なんですよ。だけどなんか違うことをやったら面白そうなことが起きるとか、いいことが起きそうとか、もっと幸せになりそうということを一回でも味わってしまうと、それが欲しくなるのもまた人間の性質だと思うんですよ。

 

朝山

ですよねー!
 
 

江上

だからそれを周りの人達が、それは友達でもいいし、親でもいい先生でもいいし地域の大人でもいいと思うんですけど、ちょっとやってみたら?そしたらこんな感じになるかもよみたいな。ポジティブなアプローチを声かけをするかどうかだと思うんですよね。
 

朝山

ですよねー!!
 
 

江上

だからそんなことやめておきなさいとか、そんなんやった失敗するからっていう大人が一人でもいるともう多分やんないんですよ。

 

朝山

ですよね。きっとその大人は失敗した時に、それを言われた経験があるんですよ、そうだからそんなこと言われちゃうから、あなたもやめときなさいっていう話になっちゃうんですよね。負の循環になっちゃう。
 

江上

なのでこのわくわくエンジンの発見プログラムを実施する時にそのわくわくナビゲーターの養成講座をやってますよね。この養成講座を受けた人たちはどういうふうに変わるかっていうとネガティブなワードを一回も使わなくなるんですよ。ポジティブな言葉、前向きな言葉で子どもに話しかけるっていう事のトレーニングをするのでそういう大人がもっと増えたらいいなって思ってます。

 

朝山

ですよねー。やっぱり応援してくれたら頑張ろうって思えるけど、それやめときなとかそれダメだよとかネガティブなこと言われるとやめとこかなってつまんないなと思っちゃいますもんね。
 

江上

ただしネガティブなことを言っちゃ駄目ってことじゃなくてネガティブなその止めに入る時には、必ず相手が納得する理由が必要なんですよ。
 

朝山

そうですよ。
 
 

江上

でその理由を説明できない大人が多すぎる。
 
 

朝山

そうですよね、そういう事です。
 
 

江上

なぜこのコロナの状況下で東京に行ってはだめなのかみたいなことが問いとしてあった時にそれにちゃんと答えられるだけ大人はしっかり考えてますかと。政府が県をまたぐ移動はやっちゃダメって言ってるから、ダメなんだみたいなもう思考停止状態の答えをした時点で多分子どもはね、離れてくと思うんですよ。だってモヤモヤだけ残るもん。
 

朝山

ねー、気持ち悪いよね。やっぱり自分で考えて選択して行動する力、それにつきますよね。
 

江上

そうです。そうです。

 
 

河野

一歩踏み出すていうのは、あの昔から子どもの頃から人と違うことをするのが大好きだったみたいで、とにかく人と違うことをし続けてきたっていうところはありますね。役所に入って最初はあれやっちゃだめこれやっちゃだめっていうことばっかりだったんですけどいつからかな、これやっていいんだって思えた上司に巡り会えてそれから結構好き勝手やりだしましたね。

 

朝山

その上司すごい!
 
 

河野


 
 

藤谷

どうしてキャッチされたんですか?やっていいんだっていうメッセージってどういう?
 
 

河野

実際失敗しちゃったんですけど、さしてその上司には咎められなかったし。そのことによって引きずり下ろされることもなかったので、もういいんだねこれはって。
 

朝山

やってみろっていう感じだったんだ?
 
 

河野

あのリミッターが外れました。
 
 

藤谷

大切ですね。
 
 

朝山

もともとね、あったものに蓋をされちゃってたわけだから。その蓋がピッと外れたら伸びやかに自由でいられたっていうね。
 

河野

そうですね。
 
 

朝山

あ、だから一歩踏み出すっていうことに対する恐怖心とかはなくて。
 
 

河野

あんまりなかったと思いますよ。
 
 

朝山

江上さんいい人と組みましたね。
 
 

江上

本当ですね。
 
 
 

2人のわくわくエンジンって?

 
 

朝山

わくわくエンジンなんだろうな(笑)
 
 

河野

わくわくエンジン、今のわくわくエンジンで言うと何かを人にしてあげたい。そのことがすごい自分の中ではわくわくしますよね。
 

朝山

何かを?
 
 

河野

何かをしてあげたい。
 
 

朝山

どういう人に対して?例えば。
 
 

河野

身近なところでいうと、ハンドボールで子どもたちを教えているんですけどその子たちのためにいろんなことをしてあげたいなとか。ちょっと困ってる人見ると何かしてあげたいっていうのが。
河野さんわくわくエンジン
 

朝山

さっき江津の子どもにも人を助けたいっていうようなこと言っている子いましたね。
 
 

河野

そうですね。
 
 

朝山

人を助けるっていう、そこにわくわくエンジンがあるっていうそういう要素があるって事ですね。
 

河野

そういう事ですね。
 
 

朝山

さすがです。
 
 

朝山

江上さんのわくわくエンジンはなんだろう?
 
 

江上

私の最新は若者の才能と情熱を解き放つことですね。
 
 
江上さんわくわくエンジン
 

朝山

解き放つ。おぉ!
 
 

朝山

のびやかに自由に活躍させるってような感じですね。
 
 

江上

そうですね、はい。
 
 

朝山

抑えられてますもんねこれやっちゃだめあれやっちゃダメで。
 
 

江上

抑えられてるって言うのもあるし、学校教育、小中高校大学もそうですけど、正解を最短距離で探し当てるみたいなことが、教育の中に組み込まれているので、これやりたいんだけど正解じゃないような気がするって思った瞬間にもうやらないですよね。

 

朝山

ねー、これやって何の得になるのみたいなね。
 
 

江上

そうそうそうそうそうそう。
 
 

朝山

えって思うときありますよ。
前に言われたことあるんですよ。学生に。キーパーソン21の活動やったら、何かが何級とかね、履歴書に書けるような事ってあるんですかって質問されたことあるんですよ。それはあなたが自分の言葉で書くんだよねって。資格がどうこうなんていうのが欲しいんだったら、ここで活動する必要ないよって言ったことありました。得か損かみたいなね、そういう思考にになっちゃうんですよ。
 

江上

そうなんですよ、そうなると結局、自分自身を語る時に肩書きだったりとか所属とかでしか語れないんですよね。日本人ってかなり特徴的なんですけど、私が大学時代にヨーロッパに留学していた頃、同い年の若者同士、お前何者なんだって聞いた時に、自分はこんなことが好きで今こんなことに情熱を持って取り組んでいて、将来こんなことやりたいんだよね、ってことを話してたのに、私自身は当時通ってた大学名と学年とサークルとかそんな事しか話せなくて。自分が何者であるかっていうことを言語化できなかったんですよ。
 

朝山

自分が何者であるかを語る力、そこがあって初めて協働のコミュニケーションがとれるわけなんですよね。
 

江上

そうなんです。
 
 

朝山

でなかったらスカスカのコミュニケーションになっちゃうんですよ。協働のコミュニケーションが。
 

江上

だから就職活動、特にキャリア教育でもその履歴書に何か資格書くとかあるけどね、その資格取ったのは何故なのとか、取って何したいのみたいなことじゃないですか。だけどなんか就職に有利だからこれ取りましたとかどうなんですか。その資格の勉強する時間があったらもっとやりたいことに時間使った方が良いよって思うんですよ。
 

朝山

ほんと、そのほうがよっぽど自分の力つくよって。その資格にどんだけ価値あるのって思うんですよね。
 

江上

なので私は今、自分と関わる若者にはそんな話をしていて、どういう才能がありそうかなこの子はとか、どんな事に情熱持ってんのかなとか、持っているんだったらどうすれば解き放てるのかなみたいなことを日々やってます。
 

朝山

あー、そういうことか!わくわくエンジン。なるほどわかった!
 
 
 

今江津に必要な事って?

 
 

朝山

今江津に必要な事ってなんだと思います?
 
 

河野

いや、今この取り組みを広げることだと思ってます。
・・・・言っちゃった(笑)
言っちゃった(笑)
 

藤谷

また一歩踏み出しちゃった。
 
 

朝山

踏み出しちゃった。
 
 

藤谷

私たちも嬉しいです。
 
 

河野

江津市としては、今この取り組みを広げていきたいなって思っているので、キーパーソン21さんには活動をどんどん進化させていって欲しいなって思っています。

 

藤谷

そうですねまた高校生ともタックを組んで、地域の大人たちを揺さぶってじゃないんですけど大人がねやっぱりこう助けてくれた、サポートしてくれたっていうことを心に思いながら江津市をまたみんなでオール江津で盛り上げて言っていただければなと言うな感じがいたします。
 
3月27日もオール江津でもオンラインで出しますから是非皆で見て欲しいです。
エキスポ

子ども達の成長ぶりを。自分の言葉で語ってもらおうと思っております。江津の町を。楽しみにしててください。
 
 

見えない未来に向かってこれから必要な力とは?

 
 

藤谷

では最後一言頂ければと思うんですが、見えない未来に向かって必要な力って?っていうことでこれから必要な力をお聞かせいただければと思います。
 

河野

はい、お互いを認め合うっていうことかなって思ってます。
 
 

江上

はい、私は創造する力ですね。クリエイティビティの方ですね。
 
 

朝山

やっぱりね、自分と相手のわくわくが何であるかを知る力。
 
 

藤谷

今日は、すごく対話の中から見えてきたものが、また改めてあったなあというふうに私自身も感じました。まだまだこれは続くことでして、ずっとこの教育を軸にして人を育んでいき、そしてまちづくりに繋がるこの事例を全国にもどんどんご紹介していきたいなという風に思っております。本日はどうもありがとうございました。

 

朝山

これからどんどん江津をアピールしていっちゃいましょう
 
 
ゴーツー!

今日はありがとうございました。

 
今回の対談シリーズ#03はYouTubeでもご覧いただけます。
 

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