認定NPO法人キーパーソン21

活動ダイアリー わくわくエンジン®ブログ

【キーパーソン21学生会員卒業イベントレポート】
学生会員卒業おめでとう! 何が起こるかわからない未来に わくわくエンジン®と未来を創る

2020.04.21

イベント大学生・大学

特別対談「わくわくエンジン®をキャリアンカー、レジリエンスで紐解く」
2020.3.21.sat @武蔵小杉 中原市民館

 

この春、大学及び大学院を卒業する学生会員の、卒業を祝うイベントが3月21日、武蔵小杉にて行われました。コロナウイルス感染拡大防止のため当初の予定を変更し、オンライン配信での開催となりましたが、特別ゲストとして、法政大学キャリアデザイン学部教授の児美川孝一郎先生をお招きして基調講演をして頂きました。続いて、キーパーソン21代表である朝山あつことの対談を行い、その模様を全国各地の会員とシェアすることができ、大変充実した時間となりました。

キーパーソン21 学生会員卒業イベントレポート キーパーソン21 学生会員卒業イベントレポート

当日は、朝山の「みなさん、コロナにも負けずにがんばりましょう!」という元気な笑顔でイベントが始まりました。まずは、児美川先生より、変化の速いこれからの時代のなかでどう生きていくのかをテーマに基調講演をしていただき、キャリアを切り拓く上で大切な能力である適応力について、お話しいただきました。

児美川孝一郎先生 基調講演 ~何が起こるかわからない人生のために~

みなさんこんにちは。今日は、「なにが起こるかわからない人生のために」と言うテーマで、自分のキャリアをデザインするということについてお話ししていこうと思います。私は普段、法政大学のキャリアデザイン学部というところで講師をしています。

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「キャリアを考える」というと、みなさんどんなイメージを持ちますか?

 

これまで、日本の従来のキャリアについての考え方は、自分が就職する際や結婚するタイミングといった、大きな人生の節目の時だけに自分のキャリアデザインを考えるというのが主流でした。しかし近年、変化が起きていて、節目の時だけではなくて日々、自分の人生を設計する意識を持つことが大切な時代が来たと考えられています

 

それは、なぜでしょうか?

 

理由の一つとして、現代社会では日々様々なことが起き、かつ、変化が早い時代と言われていることが挙げられます。これまでの従来の日本社会には、いわゆる「生き方の標準モデル」とでもいうべきものがありました。例えば、一つの会社に定年まで勤めたり、だいたい何歳になったら結婚するよね、といった多くの人が持っている人生プランのイメージようなものです。しかし、生き方が多様となった現代において、それが崩れてきています。そもそも結婚しない人も増えたり、働き方も多様化してきました。そういう社会背景から、人生プランの標準のモデルがなくなるのがこれからの時代だと言われています。

 

皆さんがこれから漕ぎ出していく社会には様々な変化が起こっています。

 

例えば、平均寿命が伸びて働く年数が長くなると、人生で複数の仕事を経験するようになる。つまり、一つの仕事を最初から最後までする人が減ったり、今後AIによって人間がする仕事に変化が起きることが考えられます。また、家族の形も急速に変化していて、だいたい何歳くらいになったら結婚するよね、というこれまでの価値観も変わってきました。家族って婚姻した男女だけがつくるものではなく、家族以外の人と人が一緒に生活したりと、その形も多様化していきます。そういう変化の中で私たちは自分の人生を紡いでいくことになります。みんなと同じことをしていれば安心。そこに寄りかかっていれば良いわけではなくなる。そうなったときに、普段から、現在進行形で自分のキャリアをデザインしておくことが大切な時代になるのです。

 

そこで大切になってくるのが、適応力(キャリアアダプタビリティ)という力です。

 

なにが起こるかわからない人生に対してどう準備していけばよいのか。みなさんがなにかの変化に直面したとき、それを受け入れて、適応する能力を持っているかが、大切になってくると思います。その力があれば、自分が直面した変化を自分のために活かすことができるからです。キャリアにおいて、変化に適応する力のことをキャリアアダプタビリティと言います。アダプタビリティとは適応できる、順応できるという意味です。

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では、このキャリアアダプタビリティ(適応力)を育てるためにはどうすればいいのでしょうか?

 

結論として、2つの大事な要素があると考えています。1つめは、キャリア・アンカー。2つめは、レジリエンスです。ひとつずつ説明していきます。

まず、キャリア・アンカーについて。このアンカーとは、船のいかりのことです。船がいかりを下ろしているとき、船自体は動けますが、一定の範囲以上大きく動いたり、勝手にどこかに行ってしまったりはしませんよね。これがキャリア・アンカーのイメージです。自分の行動の根っこにあたるもの、つまり自分が最も大切にしたい価値観・軸がわかっていれば、それが選択をする上での重要な指針となります。自分が行動したり選択したりするときに、なぜそれをしたいと思うのかが、わかるのです。生きていくうえで最も大切にしていて、その軸から自分は離れないな。というものを、見つける。そしてそれを自分の中で大きくしていく。これはとても大切なことです。

加えて、もう一つ大切な要素があります。それが、2つめのレジリエンスです。自分の夢や目標の実現のために頑張っていくと、何かしら思い通りにいかないことや挫折する場面が出てきます。そういう時に心が折れたりせず、次に向けてチャレンジできる力をレジリエンスと言います。レジリエンスとはバネの弾性をさす言葉ですが、この力を持つことで、柔軟に次に繋げていけるのです。挫折して終わらず、臨機応変にまた立ち直って前に進むことができます。

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ところでいつも、どうしたらレジリエンスが身につきますか?とよく聞かれます。

 

レジリエンスを身につけるには、自分自身が何らかのチャレンジをしてみることが大切です。その時、これって自分にできるのかな?という無理めなことに挑戦してみることがポイントです。自分を安全な世界の中に囲っていると、レジリエンスは身につきません。そこを超えて、やれた!っていう達成経験を得ること。もし、たとえ達成が出来なかったとしても、的確に状況を認識して、そこから学びを得ること。この経験がみなさんのレジリエンスを育てます。そういうことを経験した人は、じゃあ、次はこっちをやってみようかな?と次の一手を考えることが出来るのです。

 

キャリアを考えるというと、よく「将来の目標は?」とか、「就きたい職業は?」と聞かれるイメージがあるかもしれません。

 

もちろん夢や目標は大事ですし、それがあると頑張れますよね。しかし、夢や目標が見つかればそれでオッケーなのかといえばそうではないのです。変化の激しい時代というのが今日のテーマですが、

やっていくうちにうまくいかないこともあって、そうなったときに次はどうしようか、と次にやることを見つける。

そのためには単なる目標として、この仕事がしたい!という想いだけではなくて、自分の夢や目標の根っこにある自分の価値観・軸、すなわちキャリアアンカーがわかっていれば、次が見つかりやすくなります。
このキャリア・アンカーと、くじけずやりきるためのレジリエンス
2つの要素が組み合わさることが適応力(キャリアアダプタビリティ)だと感じています。

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みなさんも、様々な経験を通してこの2つの要素を自分の中に育てていってください。

何が起こるかわからない人生への準備のために【法政大学キャリアデザイン学部教授 児美川孝一郎】

 

特別対談 「わくわくエンジンをキャリア・アンカー、レジリエンスでひも解く」

続いて、代表朝山と児美川先生との対談が行われ、

精神面での強さの話から、キーパーソン21が大切にしているわくわくエンジン®とは改めてどんな意味を持つ言葉なのか、わくわくエンジン®を共有することがもたらすメリットについてなど、話が広がりました。

 
朝山あつこ(以下、朝山) 児美川先生、この度はお話しくださりありがとうございます!

ファシリテーター斉藤剛より質問:近年、何かがうまくいかなかった時にとても落ち込んでしまったり、例えば新入社員が精神的な体調不良を起こしてしまったりと、メンタルの弱い人が増えてきているような印象を受けます。普段大学生と接している児美川先生からみて、それはなぜ起こっていると思いますか?

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児美川先生(以下、児美川) 確かに、わりと多くの学生が打たれ弱くなってきているという傾向はあると思います。もちろん全員がそうではありません。でも、それは大学生といった若い世代限定でそうなっているのではなくて、日本社会全体がそうなってきているのかもしれませんね。やっぱりチャレンジをして達成体験を持つ、うまくいかなくとも次を頑張るという経験をしていることが大事。という話をしましたが、この何十年間かで、日本の社会が効率を重要視するようになった結果、チャレンジを回避する人が増えたと思います。失敗を恐れてチャレンジをすることを回避していたら、打たれ強くはなれないですよね。効率化の風潮が続いたことは、打たれ弱い人が多くなった背景のひとつだと考えています。

 
朝山 安全安心の場所に自分自身をずっと置いたままだと、レジリエンスを育てられないとおっしゃっていましたが、まさにそうですよね。

 

児美川 そうです。子どもたちをみていると、周りの大人が色々と用意しすぎてしまって、どこで頑張ってチャレンジをしていいのかわからない、という状況が見受けられることがあります。大人が先回りして子どものために色々とやってあげることが逆効果となっているという側面もあるかもしれません。

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朝山 なるほど。なにか仕事をするときに自分で考えるのではなくてマニュアルを求めると、新しい発見を得たり、自分の力を伸ばす機会を失ってしまいますね。学びと経験をごちゃまぜに体験することで成長できる。やはり、うまくいかなくても立ち直って次に進めるレジリエンスの力が大切なんですね。キーパーソン21では地域とのつながりを大切にしているんです。子どもが地域とつながって活動することで、子どものやることを周りの大人が応援してあげる環境をつくるようにしています。失敗してもナイストライ!って言ったりチャレンジしたこと自体をほめてあげることができれば、レジリエンスの力を地域の中で育てることは可能なのではと考えています。

 

児美川 まさにそうですね。

 
朝山 また、キーパーソン21にはサポーター役の大人がいるんですね。子どもがわくわくエンジン®を見つけた後もその子のわくわくエンジン®はなんだったっけとリマインドしてあげることでそれを忘れない、または忘れても思い出せるように工夫しています。それによって自分の根本の価値観に立ち戻って考えられたり。レジリエンスの力というのは大人がコミットしてあげることも大切だと思います。
 
児美川そうです。キャリアアンカーの方も、子どもがもんもんと一人で考えていても見つかるものではないですよね。自分のなかでそれを大きくしていくためには、色々な活動が必要だし、関わる大人も必要です。レジリエンスも同じで、一人だけの力でどんな困難があってもがんばって乗り越えなさい、と言うのはそもそも無理な話で、それを励まし支える人が周りにいることでその子のレジリエンスも高まります。また、研究的にいうとレジリエンスというのは、個人だけが持つものではないんですよ。組織、地域社会、その国のレジリエンスがある。そうなると、子どもを中心に置きながら周りの人がそれを支えてあげられるような背中を押してあげる関係性を構築することは、その地域社会のレジリエンスも高めていくことに繋がると思います。

 
朝山 なるほど!個人だけはなく、夫婦、組織、地域、日本、世界、宇宙と広がっていく…。

先生の話してくださった自分の軸となるキャリア・アンカーを見つけ、レジリエンスで粘り強く前に進んでいく、というお話は、キーパーソン21が大切にしているわくわくエンジン®の考え方とも親和性が高いと感じています。
 
児美川 そうですね。わくわくエンジン®って素晴らしいネーミングだと思います。「わくわくエンジン®」という言葉は、一つの言葉に、キャリア・アンカーとレジリエンスの2つの意味が内包されていると思います。
まず、自分がどんなことだったらやる気が出るのか。という側面においてはキャリア・アンカーの意味を含み、一方で、何かうまくいかなかったときに、それでもやるぞ!っていう粘り強さであるレジリエンスとしての意味も持っている。そんなエンジンを持っていれば、状況が変化していく中でもやっていけるぞ、という適応力みたいなものを指していますよね。

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朝山 その人が持つわくわくエンジン®をお互いに理解するということは、相手が人生において大切にしたい価値観を理解するということだと思っています。

 

児美川 そうですね。

 

朝山 私のわくわくエンジン®は、「みんなの力をつなぎあわせて、新しいなにかを生み出していく」なのですが、そういう、自分はこういう人です!という価値観が共有されていることで、仲間と相互に理解し合いやすくなったり、相手に何かを提案しやすくなったりしていきますよね。私も自分のエンジンに沿った行動をしているとき、本当にやりがいを感じることが出来ます。

 
児美川 なるほど。だからこそ、20年も活動が続いてきたのですね。

 
朝山 はい。私は、色々な人のわくわくエンジン®をパッチワークみたいにつなげていくイメージでこの活動をやっています。より多くの人から自分のわくわくエンジン®を見つけることで沢山の「やりたい!」というポジティブな気持ちが生まれて、それを周りの人たちがいいね!って応援できる社会っていいですよね。この春卒業する学生会員のみんなにも、周りに応援してくれる人がいることを忘れないでほしいです。みなさんのこれからを楽しみにしています。先生、本日はありがとうございました。 

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児美川 ありがとうございました。

代表朝山より、現在の活動状況についての報告がありました。

キーパーソン21はこれまで、
“自分を知る”からはじまるキャリア教育を全国各地へ
『夢!自分!発見プログラム』を通して沢山の人に届けてきました。

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「すべての人が自分のわくわくエンジン®を見つけて、生き生きと仕事をして生きる。」ということを念頭におき、日本全体で様々な立場の人たちが協力して子どもたちを育てていく、という理念のもと活動をしています。わくわくエンジン®とは、わくわくして動き出さずにはいられない原動力のようなものです。『夢!自分!発見プログラム』で行うゲームなども、開発チームが開発してきたものです。

これまで、学校や地域の施設などと連携し『夢!自分!発見プログラム』を行い、プログラムを受けた子どもたちはもうすぐ5万人になり、北海道から沖縄まで全国に広がっています。

また、全国各地に会員が450名おり、活動を盛り上げてくれています。

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キーパーソン21では上の図のように、子どもを真ん中にして、あらゆる立場の大人が連携して活動することを念頭におき活動しています。活動内容は、次の6つの分野に分けてきました。

1)親・家庭
2)教員・学校
3)大学生・大学 

4)企業人・起業
5)生きづらさ
6)まちづくり

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これらのそれぞれの場面で課題を感じた方が、その課題を解決するために連携しています。どの分野においても、様々な問題を根本的に解決するためにわくわくエンジン®の考え方が大切だと気づいて下さった方々が、わくわくエンジン®の考え方を子どもたちに提供する・教えるだけではなく、自分も学ぼう、自分も行動しようと仲間になって全国から集まっているという状況になっています。

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キーパーソン21では、まずは自分を知ってわくわく動く、地域とつながる、自分を活かす経験をする。というステップを考えており、その流れを通して、それぞれの主体的な活動がどんどん増えていく。「主体的になれるひとりひとりを活かしてチャンスをつくるキャリア教育」をやってきました。それがいずれ、進路選択の時、例えば試験の面接や就職試験などの場面で、自分がこれまでどんなことに興味をもったりわくわくしてきて、こんなことをしてきた、将来はこういうことをしたいと言えたり、自分の価値観を自分の言葉で語ることが出来る人になっていってもらいたい。という風に考えています。それが、いずれ街の活性や経済の活性、みんなの幸せにつながっていくと考えています。
 
活動を始めてから20年が経ちました。

この20年間の間で、社会におけるキャリア教育についての考え方は大きく変化し、より求められるようになったと思います。従来通りの型にはまるのではなく、自分らしさを大切にして生きる人が増えてくるなか、それをサポートできる我々の活動の意義は大きくなっていると思います。このように、社会的な意識は変わってきましたが、我々が掲げている理念や活動は変わらず続けてきました。これまでの活動で全国に広がった多くの仲間と実績をもとに、これからますます活動を加速させていきたいと考えています。

おわりに

今回レポートをまとめてくださいましたのは佐手優香さん。
〜優香さんより〜
当日はオンラインでの開催となりましたが、全国の様々な場所にいるみなさんと一緒に、変化の多い時代においてキャリアをデザインする力について学べ、とても濃い時間となりました。会場のあたたかな雰囲気が少しでも伝われば嬉しいです。

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また、基調講演、対談映像を作成してくださったのは笠井成樹さん(シゲりん)です!
YouTubeわくわくエンジン®チャンネルにて配信させていただいていますので、ぜひご覧くださいませ。

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シゲりん、優香さんありがとうございました!!!

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朝山ブログ代表朝山が日々奮闘していること、考えること、嬉しく感じること、あれこれを記しています。ぜひご覧ください。